何のために?
(2002年4月06日更新)


ごくあたりまえのことから、順に説明していきたいと思います。
公立の中学校は義務教育ですから、子供は全員行かなければならない。
と、よく言われるのですが、本当は少し違うのです。
確かに国民の3大義務の一つに教育の義務があります。しかしこれは子どもが「教育を受ける義務」ではなく、保護者が 「教育を受けさせる義務」なのです。したがって、 義務には違いないのですが、それは子供が義務を負っているのではなくて、義務教育とされている中学校卒業まで保護者が子供を学校に行かせる義務を負っているのです。
ですから厳密に言うと、子供が学校に行かなければ保護者が国民の義務に違反していることになるのです。
もっともこれは厳密に言えばのお話ですが。
義務ですから、もちろん公立の中学で全員の受入態勢はできているのです。
また、入学試験などが実施されて、選抜されることもありません。
中学入試というのは、公立以外の中学校、すなわち国立の中学校か私立の中学校を受験するということになります。
特に私立の中学校の場合は公立の中学校と比べて費用がかなりかかります。
税金として、公立の中学校の負担をし、かつ私立の中学校に授業料などの名目で支払うという二重払いになります。
私立に対しても地方公共団体から補助金は出ていますが、公立に対するものとは金額的にも大きく異なります。


しかし、2002年4月からの学校週5日制の導入や学習指導要領および教科書の改訂(高校の教科書は2003年からです)により、学力の低下が懸念されています。これは懸念ではなく,事実なのです。4月開始の土壇場にきて、当の文部科学省がさまざまな通達を出して学力の維持に努めるように指示しておられるぐらいですから。

このため、従来より学力の向上について神経を使ってこられた私立や国立の中学校では、週5日制の導入率がかなり低くなっているのです。

入学試験について


国立でも私立でも入学希望者を対象にして入学試験が行われます。
普通、入学試験といえば、筆記試験(ペーパー試験)や体育実技・面接などを指します。
国立の場合には、それ以外に抽選も実施されますが、そのタイミングや方法は学校によって異なります。
筆記試験の前に抽選で筆記試験を受ける資格の抽選をするとか、2回実施する筆記試験の後でするとか、それぞれの学校が決められています。
これは、国立の場合には文部科学省管轄のの教育大学や教育学部の教育実践校という位置付けのために、入学考査において学力以外の要素を取り入れるように決められているために、公平を期する目的で実施されています。
そのために義務教育ではない高校入試においては、国立でも筆記試験だけとなります。
ここはきちんと押さえておいてください。
私立でも学校によっては、体育実技や作文や面接を点数化して筆記試験に加える学校もあります。
入学願書を提出するときに、小学校の調査書や卒業見込み証明書の提出を求める学校があります。
高校入試では、ほとんどの学校が内申書(調査書)を要求されますが、中学入試では小学校の調査書を必要としない学校もあります。
これは、従来は調査書の書き方が小学校によってバラバラだったということ、そして2002年からは、小学校で「絶対評価」を導入するようになることも関係しているようです。

極端な例を挙げれば、クラスの全員が5かもしれませんし、全員が3かもしれないのです。
すべて担任の先生の考え方によるのです。それを、どうやって評価の基準にできるのでしょうか。


にしても、中学校は義務教育ですから、過年度生、つまり浪人は対象外になります。 中学入試は一生に1回しかできないのです。
中学校が知りたいのは、現役の(おかしな表現ですが)小学校の6年生であること、理由のない欠席が多すぎないかどうかということにすぎません。
前者は、義務教育のためであり、後者は数年前にマスコミで騒がれていた、受験のためにほとんど学校に行かないのはおかしいという考え方からです。
ですから、骨折などの理由があっての長期欠席があっても何ら問題にはなりません。
そうしないと、おちおち風邪を引いたぐらいでは学校を休めなくなってしまいますから。
その結果、風邪をこじらせて重い病気にかかることもあるのです。
この欠席日数の基準については、学校によって異なりますが、おおむね6年生の1・2学期で1ヶ月がめどになっているようです。
ここまで考えていきますと、中学入試は、当日の筆記試験の結果でほぼ決まってしまうことがおわかりいただけたと思います。
筆記試験は国語・算数の2教科、理科を加えた3教科、社会も加えた4教科のいずれかで実施されるのが普通です。
一部の中学校では、入試科目としては3教科ないし4教科が実施されますが、その中の高得点の教科だけを採用されるアラカルト方式が使われています。
国立の場合には4教科に加えて、音楽・図工・家庭科もペーパー試験が行われます。
それ以外に、面接や体育実技が行われることもあります。

私立の中学のメリット


では、どうして受験してまで国立や私立の中学校に行こうとするのでしょうか。
そこには何らかのメリットがあるはずです。
そうでなければ、誰もしないはずです。
私立の中学校では、例外を除いて系列の高校もあります。
系列の高校には一定の条件さえ満たしていれば、進学できる学校がほとんどです。

公立の中学生のように高校受験に目の色を変える必要がないのです。無条件で高校に進学できる学校もあれば、内部テストを受験する学校もありますが、いずれにしても外部からの受験とは比べものになりません。
文部科学省も公立で作ろうとしている中高6年一貫教育ができるわけです。
ご存知のように、公立の中学校で習うことの中には、高校入試でしか必要のないことが含まれているのです。言い換えれば、大学入試には直接関係のないことも公立中学校では教えているのです。

公立の中学校はあくまでも全人教育の場であり、考えるとしても、高校入試までですから、それでいいのです。
大学入試のことは高校に入ってから考えればよいのかもしれません。
少なくとも、公立の中学校の先生方はそう言われます。
この言葉に納得できるでしょうか。
ただ、現実に目を向けて今の大学進学率を考えると、そう奇麗ごとを言っていられないというのが真実でしょう。
問題を先送りしているだけのようにも感じられます。
そこで、中高が一貫していて、責任を持って大学進学まで面倒を見てくれる私学が、脚光を浴びてきました。
私学の中には、大学まで面倒を見てくれる学校もあります。
詳しくは、下の「戻る」を押して、「どうして選べば?」を見てください。

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