どうして選べば?
(2002年4月06日更新)
私立の中学や高校にはどのような種類があるのでしょうか。
将来の大学への進学という点で大きく分けると、次のようになります。
進学校
これは、国公立や関関同立をはじめとする大学受験を前提とした学校です。
中学から入った生徒は3年後の高校入試を考えることなく、6年後の大学受験に向けて系統立てた学習をしていくことになります。
このため、6年一貫教育と呼ばれています。
公立の中学校に比べると、英語・数学・国語・理科・社会という主要教科にかなりの時間がさかれています。
その分だけ、副教科と言われる教科の時間数が減っているのです。もちろん、保健体育は除きますが。
また、公立に比べて1週間あたりの時間数も多い中学校があります。
ただし、トップ校の場合には元々できる生徒がたくさん集まってくるので、さほど厳しい学校はありませんが、その地域で二番手、三番手の学校は大学実績の点でトップ校に追いつけ追い越せと先生方も頑張りますから、少し厳しくなる場合があります。
進学校の一例を府県別にあげてみましょう。
大阪=大阪星光学院、明星、清風、四天王寺、大阪女学院、大谷(大阪)など
京都=洛星、洛南高校附属など
奈良=東大寺学園、奈良学園、西大和学園(中学は男子のみ、高校から共学) 帝塚山(共学というよりも別学に近い)など
兵庫=灘、甲陽、六甲、神戸海星、親和、甲南女子など
エスカレータ校
これは中学校から高校・大学まで一貫教育をしている学校です。
一部の学校では10年一貫教育と呼んでいるところもあります。
原則として学部に不服さえ言わなければ大学卒業まで面倒を見てくれます。
自分の行きたい学部に行こうと思えばそれなりに学校での頑張りは必要ですが、外部から大学受験をすることとは比較になりません。
エスカレータ校の一例を府県別にあげてみましょう。
大阪=同志社香里、関西大学第一など
京都=同志社女子、同志社、同志社国際、立命館など
兵庫=関西学院、甲南、啓明学院、武庫川女子大学附属など
学校はエスカレータ校なのだが、現実には他の大学を受験する生徒が多い学校
これは、学校の設立趣旨からすれば、大学まで自動的に上がるエスカレータ校なのですが、実際に通学している生徒の多くが他の大学を受験するという学校です。
京都=同志社(共学だが、そのうちの女子)
兵庫=神戸女学院など
学校の設立という点から見てみましょう。
私立の場合には、個人または団体によって設立されたわけですが、その目的によって学校の雰囲気はある程度まで決まってしまいます。
キリスト教の学校
日本にキリスト教を広めにきた宣教師などが、学校を作られたものです。
キリスト教にもご存知のようにさまざまな宗派があり、それぞれが学校を設立されています。
道徳の時間の代わりに宗教や聖書の時間が設けられているところが一般的です。
また、週に何度かは礼拝の時間もあります。
生徒をキリスト教の信者にすることが目的ではなく、生徒を指導していく上で、最も基本となる考え方にキリスト教を用いておられることが多くあります。
保護者の信仰とはまったく切り離して考えていただくことです。
むかし、キリスト教の学校のPTA会長がお寺さんだったということもあります。
具体例をあげれば、次のようになります。
カトリック
愛徳学園・大阪信愛女学院・大阪星光学院・小林聖心女子学院・
啓光学園・賢明学院・賢明女子学院・神戸海星女子学院・
淳心学院・城星学園・聖母学院・聖母女学院・聖母被昇天学院・
仁川学院中学・ノートルダム女学院・
明星・百合学院・洛星・六甲など
プロテスタント
大阪女学院・関西学院・啓明女学院・神戸女学院
夙川学院・松蔭・清教学園・
同志社・同志社香里・同志社国際・同志社女子・
梅花・プール学院・平安女学院など
仏教などの学校
仏教や他の宗教の関係者が作られた学校もあります。
野球で有名なPL学園も、宗教法人パーフェクトリバティ教団が設立された学校なのです。
この場合でも、キリスト教の学校と同じように生徒を指導していく基本の部分に宗教での考え方を用いられていることが多くあります。
一部の例外を除いてその宗教の信者でなければ合格しないとか、入学すると家族ぐるみで信者になることを強要されるという学校は皆無に等しくなります。
ただ、学校設立の趣旨がそれぞれの宗教に基づいているということです。
これも具体例をあげれば次のようになります。
浄土宗
上宮・上宮太子・華頂女子・京都文教女子・東山
浄土真宗
大谷(大阪)・大谷(京都)・京都光華・相愛・平安
和宗
四天王寺・四天王寺羽曳丘
真言宗
清風・清風南海・洛南高校附属
華厳宗
東大寺学園
辯天宗
智辯学園
神道
浪速
金光教
大阪金光・金光八尾
創価学会(会長が設立)
関西創価
パーフェクトリバティー教団
PL学園
など
無宗教の学校
宗教関係者でない個人や団体が学校を設立されていることもあります。
教育に情熱をもたれた個人や団体が、学校を設立することができたのです。
現在では、莫大な費用がかかることや、新しい学校の認可が下りにくいということから、ほとんどありません。
こういう学校の場合には、個人や団体の作られた校是などを用いて生徒の指導の基本とされているのです。
にしても、それぞれの学校が目的を持って設立されている以上、それをベースにして毎日の指導にあたられているわけですから、その内容について充分理解しておく必要があります。
ですから入学式で賛美歌を歌う中学もあれば、般若心経を唱える学校もあるのです。
もちろん、公立や国立の中学は特定の宗教を持っていませんから、私学の特質のひとつだとも言えるでしょう。
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